第7回 「桂林寮」(館長 山口秀範)
志明館のユニークさの一つに寮生活があります。遠隔地や海外からの入学も可能にしたい、早めの親離れ・子離れを奨励したいとの思いから、開校と同時に希望者の入寮を受け入れ現在4名が寝食を共にしています。寮の名前は江戸時代に広瀬淡窓が開いた日田の私塾「咸宜園」に、全国から集う俊才が寝泊まりした「桂林荘」に因んで名づけました。故郷を離れて苦学する青年たちを励ました淡窓の詩「桂林荘雑詠」は有名です。
当初は他人と風呂に入るのに大きな抵抗があったり、夕食後のお母さんへの電話が待ち遠しく30分費やしても心残りだったりと、寮母さんに心配をかけることもありましたが、半年を経過した今では「早寝早起き朝ご飯」が完全に定着し、寮生同士の小競り合いはあるものの、協力や思いやりの心が育まれています。
寮長の私と校長が交替で週に1度は泊まって「寮生会議」に参加しています。困り事を互いに出し合い、寮母さんからの要望も真剣に討議します。11月中旬は「寮体験週間」で全校生徒が1泊ずつ泊まり、寮生は事前の会議で決めた役割を分担し率先垂範しつつ「おもてなし」に努めています。
子供たちは活躍の場が与えられると、見違えるように成長を遂げるものです。